ストリートを駆けるヒジャブ

一年経っても、汚れたショックピンクの布は彼女の頭を覆い、身長は少しだけ伸び、アシュニールは9歳になっていた。売りのもののヴィヴィッドカラーのプラスティックバッグを抱えて、パブリックマーケットの真ん中に伸びる大通りを駆け回る。小動物を狙うチーターのように、ヒジャブから覗く丸い目は道行く人々を追いかける。




高原都市バギオを訪れて

思えばかなり不思議な選択だった。帰国する直前、残り3ヶ月ほどを海外で過ごしたいと思い立ち、再びフィリピンの語学学校を探しているうちに、バギオという都市の存在を知ったのだ。ルソン島北部、マニラから車で6時間ほどの高原都市。海、夏、果実というフィリピンのイメージを覆すような、異彩を放つ街の存在に、強く惹かれた。そして日本に帰国して数週間後、名古屋からマニラ行きの便に乗り、バギオに向かうことになった。



私たちは、思想とストーリーに熱狂する

「味がある」と口にしてしまうほど心を動かされるものは、その対象と触れ合う行為そのものや、その行為を通して想起される思想、そこに関わる人々によって紡がれたストーリーなのではないかと思うのだ。この場を通して、「思想あるものとそのストーリー」に目を向けて、「味がある」とは何かを探求する実践は、本当に私たちの心を動かすものの所在を探る行為である。



夏の都・バギオに熱狂する

灼熱のマニラ。ニノイ・アキノ国際空港のゲートを出てタクシーに飛び乗り15分ほど。パサイにあるバスステーションで紙切れのようなチケットを手にしたら、あとはそれを握りしめてバスに飛び乗るだけ。約6時間、サマー・キャピタルへのちょっとした旅が始まる。